離婚で大切な8つのポイント
離婚をするとなると、考えないといけないことがたくさんありそうに思うかもしれません。
たしかに、離婚で思い浮かぶことはたくさんありますが、実は、法律的に大切なことは、8つだけです。
1 配偶者の離婚に対する気持ちは?
離婚の流れが変わります
あなたも離婚したいと思っていて、あなたの配偶者も離婚したいと思っていれば、あとは離婚の条件を決めるだけです。
そのため、協議離婚や調停離婚で解決できる可能性が高まります。
もっとも、離婚の条件についても折り合いがつかないときは、裁判で決着をつけることもあります。
それでも、心配いりません
これに対して、あなたが離婚したいと思っていても、あなたの配偶者が離婚したいと思っていないときには、協議離婚や調停離婚では、離婚することができません。
そのため、裁判で決着をつける必要がでてきます。
それでも、私が経験した多くのケースでは、最初は離婚に応じてこなかった配偶者もあきらめて離婚に応じていますし、別居を続ければ、配偶者の気持ちに関係なく、裁判所は離婚を認めてくれます。
加えて、離婚に必要な別居の期間は、年々短縮傾向にあるように感じています。
2 親権者(監護権者)はどっち?
離婚で最も精神的な負担が大きい問題です
離婚したあとに、子どもの面倒を見る親を「親権者」、離婚するまでの別居中に、子どもの面倒を見る親を「監護権者」といいます。
親権の争いは、お金の問題のように間をとって解決をするということが難しく、精神的な負担が大きい問題です。
親権者、監護権者の問題は、初動対応が極めて大切ですので、親権が争われることが予想されるケースでは、1日も早く弁護士に相談するべきです。
基本的に、離婚の原因は関係がありません
また、親権者や監護権者にどちらの親がふさわしいか、という問題を争うときに、基本的には、離婚の原因は関係がありません。
そのため、片方の親が不倫をしたからといって、直ちに、親権者としてふさわしくない、ということにはなりません。
あくまでも、裁判所は、子どもにとって良い親であれば、親権者としてふさわしい―つまり、不倫をしていても、良い親であれば問題がない―と考えているわけです。
もっとも、これはあくまで基本的な話です。不倫が、子どもにとって悪い影響を及ぼしていることを適切に裁判所に理解してもらうことができれば、関係がないとは言えなくなってきます。
3 養育費の金額は?
養育費の金額は、裁判所が定めている養育費算定表を基に算出されることが通常です。
ただし、養育費の算定表は、原則的な考え方を示しているにすぎません。そのため、個別具体的なケースでは、養育費算定表の考え方が当てはまらないこともあります。
弁護士に依頼をすれば、あなたが直面している個別的な問題を、養育費の金額に反映できることもあります。
4 面会交流の内容は?
子どもにとっては、離婚したとはいえ、お父さんとお母さんであることには変わりはありません。
そのため、親権者とならなかった親にも、定期的に子どもと面会することを約束することが、子どもにとっては望ましいといえます。
5 財産分与はどっちがいくら支払う?
夫婦が結婚した日から、「別居」する日までに「増えた」財産を夫婦間で精算します。
芸能人や投資家等の極めて収入が多い方を除いて、通常は、半々に分けます。
なお、借金などのマイナスの財産や、結婚生活とは関係なく得た贈与や相続を理由とする財産については、財産分与の対象外です。
6 慰謝料の金額は?
結婚期間中に不倫や暴力があった場合には、その慰謝料がいくらになるかが問題になります。
なお、通常は、性格の不一致だけでは、慰謝料が発生することはないといえます。
7 年金分割をしましょう。
厚生年金に加入している場合、収入が小さい側の配偶者は、収入が多い側の配偶者が将来貰える厚生年金の一部を分けてもらうことができるとお考えください。
年金分割は、請求をすれば、認められます。
8 婚姻費用はどっちがいくら支払う?
養育費が子どもの生活費だとすれば、婚姻費用は、配偶者の生活費です。
収入が多い配偶者から、収入が少ない配偶者に支払います。
ただし、不倫をしたり暴力を働いた配偶者からの婚姻費用の請求は認められないという裁判例があります。