病院や医師に損害賠償請求をするには?
医師に過失があるかどうかがポイント
治療したのに、不幸な結果になってしまった……
このようなとき、患者さんとしては、医療過誤が頭をよぎることと思います。では、不幸な結果の全てが医療過誤かといえば、そうではありません。
そもそもミスではない場合
治療をしたのに、不幸な結果が生じてしまったからといっても、医師のミスではないことがあります。たとえば、どんな手を使っても、この結果が生じることはやむを得なかった、という場合などは分かりやすいと思います。
このような場合には、たとえ不幸な結果が生じてしまったとしても、ミスのない医師や病院の責任を追及することはできません。
ミスがあっても、医療水準の範囲内である場合
また、たしかに医師にミスがあったとしても、医療水準の範囲内である場合には、責任を問うことはできません。この医療水準というのは、簡単にいえば、平均的なレベルの医師が行うべき医療行為の水準のことです。逆をいえば、世界最高水準の医療行為が行われていれば、今回の手術は成功していた、病気の見落としはなかったことをいくら主張しても、裁判所は医師や病院の責任を認めないということです。
医療水準を下回るミスがある場合
この場合に、裁判所は医師や病院の責任を認めます。平均的なレベルの医師が行うべきことでも、やっていないのですから、納得しやすいと思います。ただ、ここでいう平均的なレベルの医師、といっても、病院の性格によって異なってきます。街の開業医に、大学病院レベルの医療を求めることは現実的ではありませんし、患者さんもそのようなことは期待していないはずです。そのため、病院の性格に応じた平均的なレベルの医師なら、ミスをしなかったかどうか?という視点で考える必要があります。そして、このようにして認められた医師や病院の責任を、法律の用語で「過失」といいます。
どうやって過失を認めてもらうの?
カルテや医学文献で立証します
医師の過失を裁判所に認めてもらうには、証拠が必須です。まず、一番大切なのはカルテです。カルテで問題となっている医療行為がどういったものであったのかを確定させます。次に、医学文献から、本来であれば何をするべきであったのかを確定させます。そして、本来するべきであった行為と、問題となっている医療行為に違いがあれば、過失を問うことができます。