医療過誤
未破裂脳動脈瘤の医療過誤
未破裂脳動脈瘤の概要
脳動脈瘤は、脳血管障害の一つです。血管に風船状のコブ(瘤)ができて、症状の進行に伴い、瘤が大きくなっていきます。次第に、コブの部分が破裂しやすくなっていきます。未破裂脳動脈瘤は、この破裂前のコブが破裂にしないようにするための治療です。治療の方法には、大きく、開頭クリッピング術と血管内コイル塞栓術があります。
未破裂脳動脈瘤にみられる医師の過失
説明義務違反
未破裂脳動脈瘤については、説明義務違反が争われることがあり、実際に裁判所が医師の過失を認めているケースもあります。医師に過失が認められる理由としては、未破裂脳動脈瘤の手術が、予防的なものであり、緊急性が高くはないことがあげられます。
脳動脈瘤の破裂リスク
たとえば、2003年に経過報告がなされたInternational Sturdy of Unruptured Intracranial Aneurysmsでは、部位と動脈瘤の大きさ毎に、年間の破裂リスクを次のようにまとめています。
頸動脈、 前交通動脈、 前交通動脈、 前大脳動脈、 中大脳動脈瘤 |
後頭蓋窩、 後交通動脈瘤 |
|
---|---|---|
7mm以下 | 0% | 2.5% |
7~12mm | 2.6% | 14.5% |
13~24mm | 14.5%% | 18.4% |
25mm以上 | 40% | 50% |
また、日本では、年間の破裂率は、0.95%とも報告されており、部位や大きさにもよりますが、凡そ100人中1人が破裂するといえます。
医師に求められる説明義務の内容
そのため、リスクを伴う手術をするかどうかは、破裂のリスクを踏まえて、患者さん自身が決めるべきだと考えられています。具体的には、医師から、破裂のリスクや、手術の危険性等について説明を行ったうえで、しっかりと患者本人に考えさせる時間が必要と考えられます。
手術内容の過失
また、未破裂脳動脈瘤の手術においては、手術中に瘤が破裂することがあります。破裂に至った原因や、破裂後の処置に問題がなかったかどうかも、医師は問われることとなります。